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“まちづくり”の原動力を生み出す NPO北九州タウンツーリズム 代表理事 大内田佳介さん

更新日:2019年1月26日



地域資源を活用したまち歩きや学びの場の提供などを通じて、シビックプライドの醸成やまちの交流人口の増加を図り、持続可能な活き活きとした地域社会の実現に取り組む「NPO北九州タウンツーリズム」。小倉北区でのまち歩きツアーを中心に様々な活動を展開されています。今回は、代表理事の大内田佳介さんに、これまでの活動や今後の事業展開についてお話を聞きました。


大内田佳介さん NPO法人北九州タウンツーリズム代表理事

1977年北九州市出身。九州大学工学部建設都市工学科卒業後、北九州市役所に入職。2008年「北九州ナイトツアー」(体験型まち歩き)をスタートし、2011年NPO北九州タウンツーリズムを設立。 2013年まちあるきの全国大会「第3回日本まちあるきフォーラム」を北九州市に誘致・開催した。(全国各地よりのべ683名参加) 2010年ふくおか地域づくり活動賞グランプリ(知事賞)、2012年ふくおか共助社会づくり表彰(地域貢献活動部門)、2014年北九州ボランティア顕彰、2015年あしたのまち・くらしづくり活動賞(振興奨励賞)、2015年北九州市都市景観賞(まちづくり活動部門)を団体受賞。また、地域に飛び出す公務員アウォード2014(ディスカバリー賞)を個人受賞。 地域づくりネットワーク福岡県協議会 北九州ブロック会議 会長、北九州市にぎわいづくり懇話会 企画調整委員、WeLove小倉協議会 監事などを務める。


活動の原点、まちへの思い

 — 主な事業、運営体制を教えていただけますか?

大内田さん:NPO北九州タウンツーリズムでは、地域資源を用いた街の活性化を考える勉強会やワークショップを実施し、まちづくりの担い手の育成する『まちづくり人材育成事業』、北九州市の「人」「モノ」を活かした学び場の提供を通じて地域力を高める『大人の学び場事業』、まちの魅力を体験するツアーを実施することで地元の方と来訪者の交流を促し、まちのにぎわいを生み出す『まち歩きのモデル化事業』の3つの事業を中心に活動しています。 現在、私を含めたボランティア15名により運営しています。ほとんどのメンバーが、私と同世代で、本業を持ちながら活動に参加しています。


まち歩きコースを考えるワークショップの様子

 — この活動をスタートしたきっかけはなんですか?

大内田さん:前身の団体では北九州の夜の魅力創出づくりとして、マップ作りや小倉城庭園や森鴎外旧居を活用した夜カフェの開催に取り組んでいました。イベント自体は好評でしたが、準備や資金的なもので非常に負担が大きく、継続的な開催は難しい状況でした。そこで、継続的に取り組むことができる事業として、2008年にナイトツアーとしてまち歩きをスタートしました。このナイトツアーの実施をきっかけに、地域資源を活用したまち歩きや学びの場の提供を中心に取り組むNPO北九州タウンツーリズムを2011年に設立しました。


 — 活動への思いを教えてください。

大内田さん:私たちは活動を通じて、「持続可能な活き活きとした地域社会を実現」を目指しています。その実現のめに、何よりも自分たちの暮らすまちを知り、そして誇りを持ち、愛すること、“シビックプライドの醸成”が必要と考えています。 「北九州に暮らす人は、北九州のまちのことをあまりよく言わない人が多い」とよく言われます。それは決してまちへの愛着が薄いということではなく、基本的にシャイで発信下手なんだと感じています。一方では、旧5市が合併したという特殊な歴史的背景もあり、それぞれ門司愛、小倉愛、八幡愛、若松愛、戸畑愛は持っているが、オール北九州に対する愛情は薄いのかもしれません。それぞれのまちへの愛着も大事ですが、その思いをオール北九州にしたいと考えています。


新たな取組による活動の広がり

 — NPO法人北九州タウンツーリズムの代表的な活動でもあるまち歩きツアーについて教えてください。

大内田さん:まち歩きツアーは、前身の団体から含めるとこれまでおよそ1,300名以上にご参加いただいています。ツアーに参加していただいた皆さんからは、「今まで知らなかったまちの一面を知ることができた」「ツアーで知ったことを他の人にも教えたい」といった声があり、好評をいただいています。また、商店街のお店を紹介するツアーでは、参加者の方が紹介したお店のリピーターになったといったこともありました。 私たちの活動の目的である“シビックプライドの醸成”には、まちを体験するという特徴を持つまち歩きツアーは良いツールだと思っています。


まちあるきガイドを務める大内田さん


 — 新しい事業として、それぞれの心の中にある小倉のまちの記憶や風景や想いを共有し、そしてアーカイブするプロジェクト「小倉(マチ)のキオク」を実施されましたね。

大内田さん:「小倉(マチ)のキオク」はCOMMUNITY NEXTさんと黒崎まちなか大学さんとの協力を得て実施しました。ヒストリーピン(グーグルマップ上に、かつてその場所で撮影された写真やビデオなどを留め(投稿し)、世界中の人とシェアできるアプリケーション)を活用して参加者の思いを共有するワークショップと戦前戦後の小倉市の様子を写した写真を用いたまち歩きを組み合わせた事業です。 今回の事業では、複数の団体との連携事業ということもあり、実施までの調整に苦労した部分はありましたが、それぞれの団体の強みが組み合わさり、タウンツーリズムとしても新たな価値を生み出せたと感じています。今後も活動の幅を広げ、新たな価値を提供していくためにも、他団体との連携にも取り組みたいと考えています。


これからの活動と目指すまちの姿

 — 今後の活動の展開について教えてください。

大内田さん:これまでも多くの方に楽しんでいただいているまち歩きツアーですが、参加者には年代の偏りがあることもあり、今後はより幅広い年代のみなさんに楽しんでいただけるツアーを実施したいと考えています。特に私たちの同世代、そして次の世代にまちの魅力を伝えたいという気持ちを強く持っていることから、そういった皆さんに参加していただけるツアーを検討しています。また、よりマニアックなテーマや自転車を活用したツアーの実施も検討しています。


アートをテーマとしたツアーの様子


さらに、まちづくりサロンや講演会の実施を通じて、これまで以上により多くの方にまちの歴史や魅力を伝えていきたいと考えています。 こういった活動の充実のためにも、私たちの活動に参加する仲間を増やしていきたいと考えています。


講演の様子

 — 大内田さんが活動を通じて目指す北九州のまちの姿を教えてください。

大内田さん:私が思い描くまちの姿は、誰もが住みたい・住み続けたいと思うまちです。誰もがそう思えるまちにするためには、より多くの人が、自分のまちに愛情や関心を持ち、積極的にまちづくりに参加することが必要です。私たちの活動を通じて、そういった人たちを増やしていきたいと考えています。そして、北九州のまちに“愛情を持って、熱くまちを語る人”を増やしていきたいと考えています。


 — どうもありがとうございました。

まち歩きを通じた“体験”を大きな武器として、まちづくりの原点となる「シビックプライドを醸成」に取り組むNPO法人北九州タウンツーリズム。まちづくりというと、どうやってまちの活性化させるか、どうやって観光客を呼び込むかといった手法に目が向きがちですが、まちに暮らす人のまちへの思いという“まちづくりの原点”を大切にした活動は、現在だけでなく、次の世代、そしてその次の世代のまちづくりにも繋がる大きな可能性を感じました。

今後も大内田さんの北九州のまちに対する愛情を原動力に、多くの人を巻き込みながら広がっていく活動に注目していきたいです。


特定非営利活動法人北九州タウンツーリズム 〒802-0006 福岡県北九州市小倉北区魚町3-3-20 4Fフォルム三番街 電話:080-2758-1872 ウェブサイト:http://www.ktq-tourism.jp/ Facebook:https://ja-jp.facebook.com/towntourism.ktq

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