一般社団法人ソシオファンド北九州がコーディネーターを務める北九州市民カレッジ「地域を面白くするLocal goodな人たち」。
全5回の講座では、地域を元気に、面白くする“Local good”なゲストをお迎えして、インタビュー形式でお話をお聞きしています。
3回目のゲストは、社会福祉士の勅使河原 航さん。

現在は、小倉南区南方で認知症デイサービス「ふらっとハウス」を運営されています。
「ふらっとハウス」を開所したのは2023年7月。
入り口には施設名も表示はなく、外観は日本家屋の一軒家、その室内は北欧調のインテリアが並ぶ素敵な空間。これらはすべて、「ふらっとハウス」を利用される皆さんを考えてのこと。居心地の良い「もう一つの家」と思ってもらえるように、そんな勅使河原さんの思いが込められています。


ふらっとハウス」がユニークなのは建物だけではありません。利用されるみなさんの過ごし方にも大きな特徴があります。
「ふらっとハウス」の1日にはスケジュールがありません。時間に追われることなく、利用される皆さんのペースで、リラックスして過ごすことができます。
さらに、ほぼ毎日のようにお出かけしたり、畑仕事をしたり、ボランティア活動をしたりと、とにかくアクティブ。駐車場の清掃などをお仕事として引き受けることも。
そんなアクティブな過ごし方が多いことから、利用される方は男性が多いそうです。

「ふらっとハウス」の様子は、日々、Instagramに動画としてアップされています。利用される方のご家族も、日々の様子を見ることができるので安心ですね。ご自宅では見られない生き生きとした表情に、ご家族が驚くこともあるそうです。
こういった運営ができるのは、勅使河原さんをはじめとしたスタッフのみなさんが、利用される方の体調、やりたいことや今できることをしっかり把握し、丁寧な対応に努めているから。利用される方が、自分の家のようにリラックスして、利用される方同士が友達のようにつながりながら過ごされています。
勅使河原さんのもう1つの取り組みが「人生BOOK」。写真とともにその人の思い出を1冊のフォトブックにまとめるというサービスです。
最初の「人生BOOK」は、祖母への贈り物として製作されたそうです。趣味の写真を生かして、祖母の人生を本にしようと思ったことがきっかけとのこと。
「人生BOOK」はご、家族やご本人から依頼を受けて製作はスタートします。写真集めから始まり、一緒に写真を見ながらインタビューを通じて製作していきます。完成した「人生BOOK」を見て、ご本人からは「1日1日大切に過ごさないといけないと思った」といった言葉や、ご家族からは「『人生BOOK』があるから、遠く離れた両親とも心が通じ合っている、心の支えになっている」といった声もいただいたそうです。
勅使河原さんは、完成した「人生BOOK」を見て、ご自身やご家族が人生を振り返るだけでなく、その製作過程に価値があると考えているそうです。それは、写真を集める段階から、ご本人や家族間でコミュニケーションが生まれ、改めて家族がつながる。そんなきっかけを「人生BOOK」が生み出しているそうです。

「ふらっとハウス」の運営や「人生BOOK」の製作といった勅使河原さんの活動に共通するのは、一人ひとりの人生を大切にし、真剣に向き合うこと。
この思いの背景には、過去の親しい方との死別の際に、自分にできることがもっとあったはずという後悔や怒りがあるそうです。そんな後悔や怒りを原動力にした覚悟があるからこそ、勅使河原さんの存在や言葉に優しさやあたたかさがあるのだと感じました。
勅使河原さんにこれからのことをお聞きすると、
「まずは『ふらっとハウス』を唯一無二の存在にしていくこと、そして私たちのような施設運営に本気に取り組んでくれる仲間を増やしていきたです」
とのこと。
勅使河原さんと志を同じにする仲間が増えていく、そんな社会はきっと優しく、あたたかな社会になっていそうですね。
これからの勅使河原さんの活躍が楽しみです。
<社会福祉士 勅使河原 航さん>
ふらっとハウスHP:https://100fuku.com/#flathouse
ふらっとハウス:Instagram:
人生BOOK HP:https://www.jinseibook.com
勅使河原さんFacebook:https://www.facebook.com/wataru.teshigahara
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