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小倉発、世界へ ~北九州の伝統ある小倉織~

更新日:2019年1月13日



京都の「西陣織」や博多の「博多織」などの日本を代表する有名な織物。それらに引けを取らないほど美しいものが北九州にもあることを知っているだろうか。それは「小倉織」と呼ばれ、江戸時代初期から豊前小倉藩で袴や帯として織られており、あの徳川家康も愛用したとされる歴史ある織物である。小倉織は一般的な織物に比べ、経糸(たていと)に細い木綿糸を約3倍も多く用いる。これにより、地厚かつ丈夫な生地に仕上がり、絹のような光沢と滑らかさを出すことができる。


使えば使うほどに光沢が増す生地は、まるでなめし革のようだと言われ、革製品のように「育てる」ことができるのだ。経糸の密度は、撥水加工を施していないにもかかわらず少量の水であれば弾く程だ。また多用された経糸は、幅数センチにも満たない1つのたて縞模様の中にも複数色のグラデーションを表現することを可能とし、小倉織の特長のひとつである“立体的なたて縞”を作り出している。


その丈夫さから「槍をも通さぬ小倉織」と言われていた小倉織。実は、私たちの身近なものにも影響を与えている。その代表が、岡山で作られている国産デニムや福岡県立小倉高等学校の男子学生の制服などだ。


北九州だけにとどまらず、岡山や栃木など全国的にも広がっていった小倉織だが、戦火の昭和初期に、ぱったり途絶えてしまう。それから数十年の月日が経ち、染織家の築城則子さんが偶然見つけた小さな布の断片がきっかけで小倉織の復元が開始された。そして試行錯誤の末、1984年に復元された。





これまで、小倉織は手織りで作られていた。手織り製品は、桜や金木犀などの自然のものから染色しているため、同じ色合いのものは世界に一つもない。一つの作品が完成するまでに、デザイン・染色・布を織るという工程があり、最低でも一年以上の時間がかかる。また、他の織物の中には、布を織ってからプリントで模様を付けるものもあるが、小倉織は糸を染色してから布を織るので、同じ職人が同じデザインのものを作ろうとしても作れないのだ。そこで、小倉織のたて縞という特徴を活かし、機械織りとして展開したブランドが「小倉縞縞SHIMA-SHIMA」である。


小倉縞縞は、環境に優しい染料で染められた糸を使っており、機械で織るため手織りよりも広い幅の布を作ることが出来る。そのため、インテリアやファッションなど新しい分野に挑戦できるようになった。また、小倉織のたて縞のデザインを用いて、井筒屋の紙袋や北九州銀行の通帳やカード、九州労災病院の病室、待合室の壁面などにもなっている。門司区の甲宗八幡宮で頒布されている小倉織を使った御守りは大人気だそうだ。このように、布だけにとどまらず他の物にも縞のデザインを施し、地元だけでなく県外や海外など多くの人に小倉織を広める活動を行っている。2016年にはイタリアで行われた「ミラノデザインウィーク2016」INTERNI主催「OPEN BORDERS」でも展示された。


広報の小川さんは、「もっと多くの人に小倉織に触れてもらいたい。小倉織のデザインを布という限定的なものだけではなく、身近なものに取り入れていき、日本の縞といえば“小倉縞縞“といわれるように伝えていきたい」とこれからの目標を力強く語る。小倉発、世界へ。伝統工芸品が私たちの身近で、そして世界で使われている。


【問い合わせ】

本社:有限会社 小倉クリエーション

住所:〒803-0814 福岡県北九州市小倉北区大手町3-1-107

代表者:代表取締役社長 渡部英子

TEL:093-561-0700

FAX:093-561-9119


記事:北九州市立大学 佐山弘記・林瑠美

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