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楽しさの垣根のない世界を! 〜Blined Project 浅見 幸佑さん〜

「生卵一個分?」

「豆腐半丁くらいかなぁ」

「もやし一袋分!」

「ちょっと大きめのアボカドくらいかな・・・」


テーブルに座る4人が、手に持った巾着袋の重さを、「冷蔵庫の中にあるもの」というテーマで表現していく

それぞれ手に持った巾着袋の重さはバラバラで、その感じ方もそれぞれ

普段、何気なく手に取っているはずなのに、改めてその重さを表現するとなると、なかなか難しい


「生卵のサイズはMサイズ?」

「豆腐は容器から出した状態?それとも容器に入って、水も入ってるの?」

「スーパーで売っているビニール袋に入っているもやしのことよね」

「アボカドを握った時にサイズ感はどんな感じ?」

と、質問を繰り返しながら、さらに具体的に重さをイメージしていく


「じゃあ、生卵一個分に全員の重さを合わせよう!」


4つの重さの中から具体的にイメージできる重さを1つ選び、それぞれが巾着袋から重りを出したり、追加したりと試行錯誤して、それぞれが思う生卵一個分の重さにしていく

そして最後に、4つのお皿がついた天秤に4人の巾着袋を載せてみる

果たして釣り合うかどうか・・・


「あぁ~、だめだぁ・・・」

「おー!やったー!」


とテーブルごとに悲鳴や歓喜の声が響き渡る


天秤が釣り合うかどうかの緊張の一瞬!

これは、見ても 見なくても 見えなくても楽しめるボードゲーム「グラマ」の体験会の一場面


「グラマ」は、立教大学に在学中の代表の浅見 幸佑さんを中心とした、関東の大学生のグループBlined Project(ビーラインドプロジェクト)が開発したボードゲームだ


代表の浅見 幸佑さん

メンバーは、浅見さんを中心に集まった別々の大学に通う1~2年生の5人

2022年1月に活動をスタートし、2月からボードゲームの開発に乗り出し、約半年で完成させたという企画力・行動力は驚きだ


Blined Projectは、「楽しさの垣根のない世界の実現」を目指している


その活動のきっかけは、浅見さんが大学で受講した福祉の講義

その講義で、視覚に障害を持つ人の生活や現状を知り、その現状に大きな衝撃を受けるとともに、これまでそんな現状を知る機会がなかったことに疑問を抱いた


「視覚の障害の有無に関わらず交流できる機会を作りたい」

「それも一緒に楽しみながら交流できるようにしたい」


そんな思いから思いついたのがボードゲームの開発だった


そこから仲間を集め、障害を持つ当事者の方や関係者の方へのヒアリング、ゲーム作りのプロにアドバイスもらいながら、試行錯誤のボードゲーム作りがスタートする

とはいえ、簡単にゲームづくりは進まず、一時はボードゲーム作りをあきらめかけたことも・・・


そんな中、「重さ」に着目することに発想がいたり、大きくゲーム作りが進み始めることに

開発の目処がたった2022年4月から、ボードゲームの制作、体験会開催の資金調達のためのクラウドファンディングにも挑戦

当初の目標金額を大きく上回る112万円の資金調達を達成!

加速度的にゲーム作りが進むことに


そして現在、完成したボードゲーム「グラマ」を持って、各地で体験会を開催している


「グラマ」は4人で協力して成功を目指すボードゲーム

コミュニケーションを通じて、巾着袋の重さを合わせていくというもの


ボードゲーム「グラマ」


単純なゲームだが、より楽しめるように

  • 巾着袋の膨らみ具合で重さが分からないように、木材や石など複数の重りを準備

  • 巾着袋の重さを表現するテーマは、必ずしも物の重さとは限らず、例えば「緊張の度合い」や「嬉しさの度合い」といった、普段は重さで表現しないようなテーマも

といった工夫がされている


勝ち負けを競うのではなく、4人が協力して成功を目指すので、なんとか重さを合わせるために、質問を繰り返しながらコミュニケーションを深めていく

ゲームを通じて、障害の有無にかかわらず、会話が盛り上がったり、一緒にゲームをしている人の知らない一面が見えたり

ついつい本気になって取り組むことで、一緒に楽しむ空気、一体感が生まれてくる


実際に体験してみると、障害の有無や性別、年齢に関係なく楽しむことができた

参加者同士が知らない間柄でも、最初は遠慮しがちだった会話も、1回目、2回目とゲームが進みコミュニケーションを積み重ねていくとすっかり打ち解けてくる

なんとか成功させたいという思いから、より具体的な表現や質問が繰り返されるうちに、それぞれの経験や性格、考え方も見えてくる

するとさらに会話が盛り上がるといった感じで、ゲームを通じて参加者同士の関係性が深まっていくことを感じることができた




ゲーム後も会話が盛り上がる

そんな不思議な力を持っている「グラマ」は、これまで200人以上が体験会に参加

開発も一段落し、これからはより広めていく段階を迎えた


浅見さんは

「目標は1万人に「グラマ」を体験してもらうこと」

と力強く目標を語っている


そのためにボードゲームの量産に加えて、体験会も積極的に開催していくそうです

次のプロジェクトは未定とのことですが、「楽しさの垣根のない世界の実現」へ向けた次の挑戦が楽しみです


Blined Project、ボードゲーム「グラマ」については以下をご覧ください

HPでは「グラマ」のテキスト版・音声版のルールブックも公開されています

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