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思い出の写真とエピソードで綴る「人生Book」を製作する勅使河原 航さん

更新日:2019年1月26日



写真とともにその人の思い出を1冊のフォトブックにまとめる、そんなサービスがあることをご存知ですか?そのフォトブックは「人生Book」です。

今回はを製作する社会福祉士の勅使河原 航さんに「人生Book」を製作することになったきっかけや「人生Book」に込めた思い、そして今後の展望についてお話を伺いました。


− 「人生Book」とはどういうものですか?

勅使河原さん : 「人生Book」とは、思い出の写真とエピソードをまとめたフォトブックです。その人の“自分史”とも言えると思います。


− 「人生Book」の製作のきっかけは?

勅使河原さん : 最初は祖母への贈り物として製作しました。2016年10月、祖母の余命が3ヶ月と分かった時、本当にかわいがってくれた祖母のために何かしたいと考えていた時、たまたま仕事を通じて知ったフォトブックを思い出し「これだ!」と思いました。もともと写真が趣味で、ちょうど写真整理アドバイザー(適切な方法で写真(思い出)整理の提案ができる人材のこと)の資格も取得していたこともあり、祖母の人生を本にしようと思いました。


− 実際に作ってみてどうでしたか?

勅使河原さん : 一緒に写真を見ながら、祖母はその思い出話を本当に楽しそうに話してくれました。その写真と思い出を1冊のフォトブックにまとめていくという作業は、祖母の人生を追体験しているようでした。完成したフォトブックは、祖母はもちろん、家族にも喜んでもらえるものになりました。



勅使河原さんが作成した「人生Book」


− フォトブック作りを「人生Book」というサービスとしてスタートしようと思ったきっかけは?

勅使河原さん : 私は以前、社会福祉士として関西の社会福祉協議会で働いていました。仕事を通じて、地元に暮らすたくさんの方とお会いし、地域の課題解決のお手伝いをしたりしている中で、“終活”というものに関心を持ちました。“終活”とは、一般的に自分の死について考え、準備することと考えられていますが、私はこれまでの人生を振り返り、そしてこれからの人生をどう生きるかということを考える前向きな活動と捉えています。現在の日本では、自分の望む形で最後を迎えることができない方が多くいらっしゃいます。そんな時代だからこそ、自分が望む形で充実した人生を送るためにも“終活”は非常に大切です。そして写真を通じて、自分の人生を振り返ることのできる「人生Book」は、そんな“終活”に取り組むきっかけになると考え、多くの方に届けたいという思いからサービスとしてスタートしました。


− 社会福祉士としての経験が「人生Book」の製作に繋がっているのですか?

勅使河原さん : 大学時代、ある先生との出会いをきっかけに、地域のフィールドワークに参加したり、地域住民の方と一緒に地域活動に携わったりしました。その中で、地域には様々な課題が存在し、多くの方たちがその課題解決に取り組んでいる、そんな姿を目の当たりにしました。そんな経験から、家族を含めた地域全体に関わりたい、地域づくりに携わりたいと思うようになり、社会福祉士になることを決めました。以前の職場の社会福祉協議会では、社会福祉士として地域の福祉業務全般に関わることができたことは、非常に大きな経験となりました。

改めて考えてみると、やはり私の根幹部分は“地域”だと思います。住民同士が話し合い、課題を共有して、問題意識を高めていき、仕組みを作って解決していくという、そんな地域づくりが大切だと考えています。

「人生Book」は、“地域”の基本となる個人が充実した人生を送ることができ、そして家族の繋がりを改めて見つめ直すことができる有効なツールだと考えています。今後は「人生Book」をいかに“地域”と繋げていくか、私自身考えながら色々なことにチャレンジしたいと思います。


− 「人生Book」の製作はどのように進めるのですか?

勅使河原さん : ご家族やご本人から依頼を受けて製作はスタートします。基本的には2〜3回程度、ご本人に直接お会いして、一緒に写真を見ながらインタビューをします。インタビューを通じて、この方がどんな「人生Book」を作りたいのかを理解し、全体的なコンセプトや完成イメージを構成していきます。どんな写真を使用するのか、その枚数は何枚か、写真に添える文章はどんな風にするかといったことを、型にはめずに、その方らしいものになるように心がけています。製作期間はおよそ1ヶ月ですが、お会いできる頻度やご本人以外にもインタビューする場合などで製作期間は延びることがありますね。形に残るものなので、どういうものにするかしっかり考え、本当に納得してもらえるものを作りたいと思っています。



写真や思い出の品々をもとに完成イメージに沿って編集が進められる


依頼者とのコミュニケーションを通じて、依頼者の思いを形にしていく


− 実際に「人生Book」を作られた方やご家族の感想は?

勅使河原さん : 作らせていただいたご本人からは「1日1日大切に過ごさないといけないと思った」といったお言葉や、ご家族からは「『人生Book』があるから、遠く離れた両親とも心が通じ合っている、心の支えになっている」といった声もいただきました。ある方はお父様の「人生Book」を作られたのですが、例えば近所の方が集まった時や元同僚の方が集まった時に「人生Book」を見ながら思い出話に花が咲いているといった話もお聞きしました。また、ご家族の「人生Book」を作られた方からは「将来は自分の『人生Book』も作りたい」と言っていただきました。 製作したものに対して感謝してもらえることは本当に嬉しく、この活動を続ける励みにもなりますね。



「大切な想い出だからこそ一人では写真を整理できない」と遺品整理で依頼を受けることも


− 今後の「人生Book」の展開は?

勅使河原さん : 「人生Book」があれば遠方に住んでいる家族が、お正月やお盆に帰省した時に、一緒に見てお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんの若い頃の話で盛り上がって、家族の繋がりを改めて確認する機会になると思います。また、ご本人もこれまでの人生を振り返り、これから先の人生をいかに豊かなものにするか、いわゆる“終活”にとって非常に良いツールになると考えています。「人生Book」を作りながら、地域の方や企業と連携して、多くの方にそういったことの大切さを伝えていき、一人ひとりの人生が豊かなものになればと考えています。

また、「人生Book」は、成人するお子さんに贈ったり、お世話になった先輩や先生に贈ったり、街の記録として作ったりと、広がりがあるものだと考えています。ぜひ、そういったことにもチャレンジしたいと考えています。


− 今後の勅使河原さんの夢は?

勅使河原さん : 自分の社会福祉事務所を立ち上げたいです。そして、講演活動などを通じて地域と接点を作っていき、地域のコミュニティ作りに携わっていきたいと考えています。福祉というのは、地域の困りごとを、住民、地縁組織、行政、企業などが話し合っていかに解決していくかということ。行政がサービスを提供して、それを受けるだけではないと思います。私がこだわりたいのは、住民同士が我が街のことを話し合うこと。そこに住む人が誇りを感じられる小さな地域を作っていき、それが広がっていくきっかけを作っていきたいです。すぐにはできないかもしれませんが、5年、10年という長いスパンで、ライフワークとして取り組んでいきたいですね。地域には様々な課題があり、福祉とはその地域の生活全体を考えていくものです。その観点から、社会福祉士は地域において非常に大きな役割があると思います。北九州市に自分の強みや特徴を生かして活躍する社会福祉士が増えるといいなと思っています。


家族であっても、昔の話を聞いたりすることが気恥ずかしかったりすることがありますよね。そんな時でも、家族のルーツや思い出を共有し、家族の繋がりを再確認することができる「人生Book」って、本当に素敵ですよね。「人生Book」は、一人ひとりの人生に向き合いながら、そしてそのご家族にも接しながら、それぞれの人生を豊かなものにしていくものだと感じました。「人生Book」をはじめ、勅使河原さんの活動を通じて元気になっていく地域が増えていく、そんな日もそう遠くないかもしれませんね。


「人生Book」に関する詳しい情報はこちら ホームページ:https://www.jinseibook.com/ Facebook:https://www.facebook.com/jinseibook/

勅使河原さんの活動が紹介された動画はこちら https://www.youtube.com/watch?v=k7UbhWtgZtY&t=2s

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