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カシャッと舎:人とつながり、街を知ってもらう街の情報屋さん

 7月にリバーウォークで、「建設現場百景」という写真展が開催され、ショッピングなどで行き交う多くの人たちに建設現場の様子が発信された。この写真展を開催した萩康博さんは、「カシャッと舎」という写真スタジオを構え、北九州を拠点にするカメラマンだ。



 JR門司駅から徒歩10分、住宅街を抜けると昔ながらの工場地帯が見えてくる。しかし、ある工場の階段を上がると、おしゃれな雰囲気のスタジオが現れる。そこが、「カシャッと舎」の写真スタジオである。この写真スタジオは元々、隣の印刷工場の倉庫として以前は使われていたが、倉庫の二階はまったく使用されておらず、廃墟寸前であったという。萩さんは、印刷工場の隣という写真スタジオの立地としては好条件のこの倉庫をリノベーションすることで、木の温かみを感じさせる写真スタジオへと生まれ変わらせた。



 一般的な写真スタジオというと、街の中心部にあるイメージを持っている人もいるかもしれない。一体なぜ、萩さんは工場に囲まれた場所に拠点を置いたのだろうか。もちろん印刷工場の隣という立地だけが決め手ではない。ここには、萩さんの強いこだわりがあった。


 萩さんはカメラマンになる前、北九州で家族とともに工場を経営しており、北九州の工業に人一倍に関心があった。一方で、副業でカメラマンとして、商業的な写真を撮るなどの仕事も行っていた。工業の面と商業の面を併せ持った萩さんは、自分自身がこのふたつをつなぐパイプとなることを考え、そのために工場に囲まれた場所にスタジオを構えることがこだわりとなった。萩さんはそのパイプとなるために、自身の経験を活かして、会社や仕事を知ってもらいたいという企業の人たちの想いを写真という形で伝えるお手伝いをしている。「中小企業の多い北九州の企業を学生のアンテナにも引っかかるような仕組みやつながりをつくっていきたい」とも話す。これは、地元に就職、またはUターンするひとたちへの情報発信にもつながっていくだろう。



 萩さんの写真は、家族、会社、ウエディング、観光など多岐にわたる。様々なジャンルの写真を撮ることには、生まれ育った北九州に対する思いもある。地元の様々なことを知り、地元の人たちとの出会いがあるからこそ、つながりが増える。そのつながりを大事にしていると話す萩さんは力強く、このようにもはなしてくれた。「北九州は何でもある。何でもある中途半端な都会だからこそ北九州のあらゆるものを知ってつなげていきたい!」


 萩さんの活動は、パイプラインの存在として、カメラマンという枠だけでおさまっているわけではない。「様々なひとたちと出会うことで、たくさんの情報を知り、“街の情報屋”になりたい」とわくわくとした面持ちで話してくれた。「日常こそ特別だ」という言葉をコンセプトに活動している萩さんは、わたしたちの気づけていない北九州の良さや面白い場所をまだまだたくさん知っているのではないだろうか。これからも萩さんは、北九州の小さな企業の想いや北九州の魅力を掬い取った写真や活動で、新たな発見や気づきを私たちに与えてくれるだろう。


【問い合わせ】

 〒800-0064 北九州市門司区松原1丁目1-13 2F

 TEL:093-382-3339 FAX:093-382-3315

 Instagram @camekiti @cashattosha


記事:北九州市立大学 小城麻美・居場智信

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