子ども劇場は、福岡市の青年と子どもの母親たちが一緒になって、創造性豊かな子どもが育つ場をつくりたいという思いから生まれたNPO法人である。1966年に福岡市で誕生した後1970年に北九州でも発足し、現在も子どもたちが豊かに成長できる環境をつくる活動を行なっている。
子ども劇場の大きな特徴は、会員になることで継続的に生の舞台鑑賞ができることである。普段触れる機会のない生の芸術にたくさん触れることで、子どもたちの心の成長に繋がっている。お芝居の他にも、人形劇、歌舞伎、音楽、落語など様々なジャンルの芸術を楽しむことができる。鑑賞するだけでなく、たくさんの芸術を見てインプットしたものを、子どもたちなりに表現してアウトプットする機会もある。昨年11月に行われた子ども芸術祭・文化まつりでは、子どもたちがオリジナルでつくったダンスや劇を発表した。北九州子ども劇場の理事長である井上さんは、「子どもたちの自主性を育てるために、発表を成功させることよりも自分たちの頭で考えて行動させることを大切にしている」と語る。
北九州子ども劇場では、芸術の他にも子どもたちの自主的な活動に力を入れている。小学校高学年以上の子どもたちが参加する子どもキャンプでは、親は一切参加せず子どもたちだけで、ご飯を作ったり自然の中で遊んだりしている。遊びのなかでこそ子どもたちは様々なことを学べると考えているそうだ。子どもキャンプでは、大人は極力見守ることに徹している。普段できない体験をして自主性や責任感を持つことで、子どもたちは驚くほどの速さで変化していく。素直で成長の早い子どもたちの力は計り知れないという。
「日本はヨーロッパの国々に比べると、まだまだ国民の芸術に対する意識が低い。将来的には、子ども劇場がなくても子どもが多種多様な芸術に触れることができる国になって欲しい。」と話す井上さん。
来年の2020年には記念すべき50周年を迎える北九州子ども劇場。今後も、行政、創造団体、文化連盟など子どものための環境について考えている人たちと協力しながら、子どもの心を育てていく活動を続けていきたいそうだ。
これからも子ども劇場の活動を通して、たくさんの子どもたちが自分自身の力を伸ばしていくことを期待したい。
【問い合わせ先】
特定非営利活動法人 北九州子ども劇場
〒804-0064 福岡県北九州市戸畑区 沖台2-2-8前原ビル2階
TEL : 093-884-3834
記事 : 北九州市立大学 錦織知里・森田純一郎
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