明治初期に開港して120年。門司港には、明治から大正にかけて作られた建物が今でも残っている。木造建築の門司港駅を始めとして、大正ロマン漂う建物を見ながら、タイムスリップしたような気分を味わうことができる。ヨーロッパ・アイルランドを中心に買い付けを行っているヴィンテージショップ『European Marche』のアトリエは、その門司港レトロから徒歩1分ほどの場所にある。
店内にはヨーロッパ古着と革靴や小物などが並べられている。オーナーは池部哉太さんと、豊村遥子さん。ヨーロッパへの旅行を計画していたとき、門司港にある別のお店のオーナーから「旅に行くついでに自分で買い付けに行ってみたら?」という言葉をかけられる。「この言葉が夢への近道だった」と池部さんはいう。
「自分で海外に買い付けに行って、いつか古着屋をオープンしたい」という想いを抱いていた池部さんは、ヨーロッパを周遊しながら古着の買い付けを始め、語学を学ぶためもあり8か月間のアイルランド留学を決意する。留学中は、語学はもちろん、古着の買い付けのルートづくりのため、現地の古着屋で実際に働くことを目標にしていた。
アイルランドは日本人が少ないため、最初の数か月は言語の壁があったものの、最終的には目標としていた現地の古着屋で働かせてもらえ、買い付けも順調に進めたという。帰国後はヨーロッパ各国で買い付けて来たヴィンテージアイテムを通販やイベント等で販売してきた。先月からは門司港のアトリエをオープンさせ、土日祝日の12時から19時の間営業している。男女どちらもの目線で買い付けを行い、レディース・メンズ共に自信を持ってお勧めできるアイテムを揃えているのが、European Marcheの強みである。
門司港をファッションや若者の集まる街にして活気づけることが目標だという池部さんは「門司港洒落者市」というイベントの主催も行っている。
門司港洒落者市は「ファッション」と「若者」をテーマに、福岡県内外の古着屋やハンドメイドを行う若者に出店してもらうフリーマーケット形式のイベントである。10店舗を超える古着屋が一堂に会するようなイベントは九州では少なく、古着が好きな人、ファッションに興味がある人々が集まることで、人の繋がりが広がるのも魅力のひとつだという。2014年から今まで2回開催しており、1日の来場者は1000人を超えるそうだ。今年は10月に3回目の門司港洒落者市の開催が決定している。
「いつか自分でお店を持ちたい、ハンドメイドでも出店してみたいという気持ちはあるけれどどうすればいいんだろう…そんな若者の挑戦の1歩を、ぜひ門司港洒落者市で踏み出してほしい」と池部さんは語る。まだ出店枠に少し空きがあるそうなので気になる人は挑戦してみてはどうだろうか?同じ夢を抱いた人と交流することでお互いに良い刺激を受けることは間違いない。また、ファッションに興味がある人にはぜひ足を運んでほしいイベントである。
これからの門司港洒落者市については、4回目、5回目とイベントを続けていくことはもちろん、音楽や食を盛り込み、若者が活躍できる門司港の一大イベントとなるよう展開させていきたいと話していた。池部さんの今後の夢はEuropean Marcheの店舗を構え、毎日営業すること。「ファッション」と「若者」をテーマに新しい風を吹かせ、街づくりという視点から門司港を活性化させていきたいと語っていた。
問い合わせ先
European Marche 池部哉太(いけべかなた)さん
アトリエ住所:北九州市門司区浜町11-20益田自動車2F
MAIL:europeanmarche@gmail.com
TEL:080-6540-0041
記事:北九州市立大学 矢野千春・富野滉平
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